B細胞を標的とした新規ワクチンの開発

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報告者

徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 特任助教 清水太郎

研究タイトル

B細胞を標的とした新規ワクチンの開発

研究経緯等

【研究グループ】

徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 特任助教 清水太郎
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 特任助教 安藤英紀
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 准教授 異島優
徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 教授 石田竜弘

【学術誌等への掲載状況】

  1. Shimizu T., Awata M., Abu Lila A.S., Yoshioka C., Kawaguchi Y., Ando H., Ishima Y., Ishida T., Complement activation induced by PEG enhances humoral immune responses against antigens encapsulated in PEG-modified liposomes. J. Control. Release, 329, 1046-1053 (2021)
  2. Shimizu T., Watanabe Y., Ando H., Ishima Y., Ishida T., Lymphoid follicle antigen (Ag) delivery and enhanced rodent humoral immune responses mediated by Ag-containing PEGylated liposomes. Vaccine, 39, 1131-1139 (2021)
  3. Shimizu T., Abu Lila AS., Kawaguchi Y., Shimazaki Y., Watanabe Y., Mima Y., Hashimoto Y., Okuhira K., Storm G., Ishima Y., Ishida T., A novel platform for cancer vaccine: Antigen-selective delivery to splenic marginal zone B cells via repeated injections of PEGylated liposomes. J. Immunol., 201, 2969-2976 (2018)
研究概要

ワクチンは病原体やがんに対する免疫応答を誘導することにより、感染症予防や疾患治療に役立つことが期待されています。ワクチン効果を高め、副反応を抑制するためには、ワクチンに含まれる抗原やアジュバントを免疫細胞へと効率的に送達する必要があります。我々の研究グループでは、抗体分泌細胞であるB細胞へと抗原を送達できるシステムを新たに構築しました。本システムは薬物送達システムとして汎用されるPEG修飾リポソームに対する免疫反応を逆手にとってB細胞に抗原を送達するものであり、抗原特異的抗体を効率的に誘導することに成功しました。さらにB細胞による抗原提示を利用し、がん抗原特異的な細胞傷害性T細胞を誘導し、がんの成長を抑制できることもモデルがん細胞を用いて明らかにしました。

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今後の展望(研究者からのコメント)

B細胞を標的としたワクチンは免疫反応を効率的に誘導できるため、投与する抗原やアジュバント量を低減することができ、ワクチン効果を保ちつつ、副反応のリスクを下げることができると考えられます。現在、新型コロナウイルスやがん抗原ペプチドに対する免疫応答を誘導する研究に取り組んでおり、今後臨床応用を目指して研究を進めて参ります。

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