徳島大学シーズ<L-04>:ライフサイエンス、創薬 | |
NMRを用いた生体分子の動態解析技術
― 溶液中のタンパク質間相互作用、立体構造、ダイナミクスを原子分解能で調べる ―
齋尾 智英 | 教授 | 先端酵素学研究所 基幹研究部門 分子生命科学分野 |
キーワード | タンパク質構造、リガント結合評価、創薬技術 |
研究室URL | https://saio-lab.jp |
研究の概要 |
<生体系NMRは溶液中の分子動態を高信頼性で評価可能だが、従来は対象分子サイズの制限が課題> 溶液中の分子中の原子核からの信号を観測し、そこからタンパク質の動態 (= 立体構造、ダイナミクス) や相互作用を高い信頼性で評価することができる核磁気共鳴 (NMR) 法は、生命科学分野や創薬分野における重要なツールであるが、従来のNMR解析では比較的小さな分子 (~30 kDa以下) に対する応用が主体であり、それを超える多くのタンパク質に対してはNMR信号の分解能?感度の制約により適用は難しかった。 <選択的同位体標識や常磁性プローブ法を使った、高分子量タンパク質のNMR解析の提案> 本研究では、タンパク質中の特定のアミノ酸および特定の官能基のみを選択的に安定同位体標識する技術を用い、高分子量タンパク質に対しても高感度?高分解能なNMR信号を取得することを可能にし、さらに常磁性プローブによって、従来のNMRでは難しかった長距離間の立体構造情報を取得することを提案している。それによって、従来のサイズ制限を超える、数百 kDaのタンパク質の構造解析、相互作用解析が可能になる。 |
想定される用途と製品化?事業化イメージ |
<創薬研究における分子間相互作用の評価ツール> NMRはこれまでにも、創薬研究における分子間相互作用や立体構造の評価ツールとして活用されてきた。本技術によって、従来のNMR法の適用を狭めてきた、サイズ制限が緩和され、より大きいサイズのタンパク質に対してもNMRの適用が可能になり、NMRによる弱い相互作用の評価や動的複合体の構造解析などが可能になると期待される。 |
論文 | ● Saio T, Ishimori K. Accelerating Structural Life Science by Paramagnetic Lanthanide Probe Methods. Biochim Biophys Acta Gen Subj. 2020 Feb;1864(2):129332. ● Saio T, Kawagoe S, Ishimori K, Kalodimos CG. Oligomerization of a molecular chaperone modulates its activity. eLife. 2018 May 1;7:e35731. |
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