Synthesis of Peptide Thioesters via N-S Acyl Shift Reaction

タンパク質の化学合成において、Native Chemical Ligation (NLC) 法が汎用されます(図1)。この方法では、ペプチドチオエステルとシステインペプチドの化学選択的反応により、フラグメント縮合を行います。このため NCL反応を行うには、ペプチドチオエステルの合成が必須となります。

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ペプチド化学合成法としては、その簡便さからFmoc固相合成法がよく用いられます。しかし、この方法はFmoc基除去の際にピペリジンを用いるため、求電子性の高いチオエステル含有ペプチドの直接的合成には適しません。このため、Fmoc固相合成法に適用可能なペプチドチオエステル合成法の開発が求められています。
これに対するアプローチとして私達は、Fmoc法に適用可能なペプチドチオエステル合成用補助基の開発を行っています。本補助基を用いた方法論の一例を図2に示します。本法では、まず 固相上へ補助基を担持した後、補助基アミノ基上に"アミド結合型"でペプチドを導入します。続いてペプチド合成完了ののち、補助基S上の保護基を除去します。最後に、N-Sアシル基転移反応により"アミド型"から"チオエステル型"へ異性化させ、ペプチドチオエステルを得るというものです。

私達は現在、これら補助基を利用したタンパク質化学合成法を開発中です。

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参考文献

Tsuda, S.; Shigenaga, A.; Bando, K.; Otaka, A. Org. Lett. 2009, 11, 823.
Ohta, Y.; Itoh, S.; Shigenaga, A.; Shintaku, S.; Fujii, N.; Otaka, A. Org. Lett. 2006, 8, 467.

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