新規フロー分析法の開発 その1.フィードバック制御フローレイショメトリー

フローレイショメトリー(流量比法)は,独立に送液される2液をさまざまな流量比で合流させ,この流量比と下流で得られる検出信号との関係を解析することにより,目的とする情報を得るフロー分析法である。本研究室では,検出信号を解析して流量制御へと反映させ,目的情報の取得に必要な領域でのみ流量比走査を繰り返す「フィードバック制御フローレイショメトリー」Feedback-based Flow Ratiometryを考案した (Tanaka, et al., Anal. Chem., 72, 4713 (2000))。
フロー滴定や光度滴定へと応用し,最高20滴定 / 分という高い効率を実現した。さらに,同制御と固定三角波制御を併用することによって走査をより狭い範囲に限定し,1分間に最高34滴定という前例の見られないハイスループット滴定を実現した (右図: Anal. Sci.誌の表紙に紹介された)。
物性測定への応用では,さまざまなイオン強度や誘電率のもと,1測定あたり約20秒で精度よく酸解離定数が決定できるシステムを構築した。また,有機相/水相の流量比を段階的に変化させて薬物の分配を行い,この流量比といずれかの相における薬物の吸光度との関係から分配係数を求める方法を報告した。非相分離検出法を用いて,従来法では測定が困難であった揮発性物質の分配係数測定を行った。さらに,逆相HPLCによる薬物分配係数の測定についても検討した。
現在,フローレイショメトリーと周波数解析の原理を組み合わせた新しい分析法の開発について研究中である。

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