工業会会員の皆様の中で企業の取締役や役員等リーダーシップを執る立場にある皆様方と工学部執行部(平成28年4月1日の改組により理工学部と生物資源産業学部)や学科長(コース長,系長)らで構成される「工業会T&E 会」が平成20年度に設置され,満10年が経過しました。T&E とは「Top and Executive」を意味しており,その設立の趣旨は,相互に連携を保ちつつ,本学の研究や教育の水準を引き上げるような有形無形の協力や助言を賜りながら,一方で会員の皆様方に本学の情報を提供させていただく点にあります。平成29年度の取り組みについて報告いたします。
生物資源産業学部からは卒業生をまだ輩出していないので,本年度は理工学部が主催し前年度に引き続いて,学生のための「就職支援セミナー」を開催致しました。その後,理工学部執行部と懇談を行い,社会から見た本学の教育に対する提言もいただきました。
第1回就職支援セミナーは,H29年10月30日(月)に工業会館メモリアルホールにおいて,教職員?学生約80名が参加して開催されました。まず,三井住友建設株式会社国際支店副本部長執行役員山地斉様(土木工学科S56卒)による「ベトナム最長の海上橋建設ラックフェン国際港アクセス道路橋梁建設プロジェクト」-ベトナム?海外現場での働き方と生活の様子-のご講演と質疑がなされました。続いて,株式会社IHI インフラシステム代表取締役社長川上剛司様(建設工学科S62年卒,H 元年修了)による「世界有数の長大吊橋トルコオスマン?ガーズィー橋(イズミット湾横断橋)建設プロジェクト」-海外インフラ整備事業拡大にむけての取り組み-と題したご講演と質疑が行われました。講演会では本学を卒業してから現在までの仕事の内容,海外での働き方や海外での生活について先輩から後輩に向けてのアドバイス等が行われ,学生からの様々な疑問に答え,今後の進路において大変参考になる良い機会になりました。
第2回就職支援セミナーは,H30年2月13日(火)にフロンティア研究センター1階セミナールームにおいて,教職員?学生約50名が参加して開催されました。まず,鹿島建設株式会社設備設計グループ副部長黒田憲二様(電気電子工学科S61年卒)による「建設会社の中の電気技術者」のご講演と質疑が行われました。引き続いて川崎重工業株式会社技術開発本部技術企画推進センター研究企画部部長柏原宏行様(精密機械工学科H 元年卒,H3年修了)による「技術研究所における研究開発の進め方と研究員の業務内容について」-技術シナジーの追及による新たな価値創造-と題したご講演と質疑が行われました。さらに,工業会兵庫支部長(神戸製鋼OB),工業会近畿支部連合会会長の原田新一様(機械工学科S43年卒,S45年修了)より,徳島大学工業会の活動についてご紹介いただきました。機電系学生対象のこの講演会では,卒業後に様々な資格取得が求められ勉強時間を作って取得したことや,一つの仕事を任されてそれを成し遂げたときに得られる達成感の大きさ,技術シナジーの追求による新たな価値の創造,社会に出てからの周りの人を巻き込んで仕事をすることの重要性とそのためにコミュニケーション力の必要性を先輩に熱っぽく説かれ,学生は感銘を受けておりました。
工学部は理工学部理工学科という一学部一学科体制となり,第三期生を無事迎え入れることができました。学年進行に伴って2年後の大学院改組を計画し,それに向かって準備を進めているところです。今後とも,様々な面で工業会会員の皆様方に協力していただくことが不可欠と思われます。誌面を借りてお願い申し上げる次第です。また,本セミナー開催に関しては,ご支援くださった関係各位にお礼申し上げます。