徳島大学シーズ<L-09>:ライフサイエンス、創薬 | |
表皮バイオマーカー:リゾプラズマローゲン
― 皮膚の恒常性や慢性皮膚炎症疾患を制御する新規生理活性リゾリン脂質 ―
山本 圭 | 教授 | 大学院社会産業理工学研究部 生物資源産業学域 応用生命系 応用生命科学分野 |
キーワード | 皮膚バリア、創傷治癒、慢性皮膚炎症疾患、リゾリン脂質 |
研究室URL |
研究の概要 |
<表皮角質のバリア構築には皮膚恒常性の制御が重要> 体表を覆う皮膚は水分の蒸散を防ぐバリアを形成するとともに、病原菌やアレルゲンの侵入阻止および異物に対する免疫応答が始まる場である。我々は、表皮角質のリン脂質代謝酵素sPLA2-IIFによりリゾプラズマローゲン(P-LPE)が産生されること、このP-LPEは悪玉因子として細胞の異常な増殖分化と活性化を促し、慢性皮膚炎症を惹起することを初めて明らかにした。 <技術課題:リゾリン脂質の制御による皮膚恒常性の維持を提案> 皮膚の恒常性を維持するためには表皮の弱酸性化が重要であり、この条件下ではP-LPEは非酵素的にアセタール型P-LPE(A-LPE)に代謝される。A-LPEのうち創生したA-LPE(trans)は、従来の機能性素材とは異なる表皮細胞の分化遊走を作用点に持ち、善玉因子として皮膚恒常性の回復に寄与すると考えられる。さらに角質P-LPE/A-LPEは、皮膚疾患の指標となり、慢性皮膚炎症疾患の非侵襲的診断に活用できる。 |
想定される用途と製品化?事業化イメージ |
<新たな皮膚疾患用医薬品?化粧品等の創生> 角質P-LPE/A-LPE経路は表皮バイオマーカーとして以下への展開が可能となる。 1)医薬部外品?化粧品原料としてA-LPEを配合した医薬品(表皮損傷(日焼け、やけど等)回復剤、アトピー性皮膚炎および乾癬予防剤)、機能性化粧品(美肌維持、皮膚バリア回復剤等)の創生。 2)角質P-LPE/A-LPEを標的とした慢性皮膚炎症および皮膚健康度の診断法への利用。 3)P-LPE阻害を作用点とした慢性皮膚炎症の治療法開発。 |
特許 | ● 特開2023-164036 「創傷治癒を促進するリゾリン脂質」 | |
論文 | ● K. Yamamoto, Elucidation of mechanism of skin homeostasis and disease regulation by plasmalogen-type lysophospholipid pathway, Annl. Rep. Cosmetol., 28, 162-166, (2020) ● K. Yamamoto et al., The roles of sPLA2s in skin homeostasis and disease, Biomolecules, 13, No.4, 668, (2023) ● H. Hakoi et al., Lysophospholipase D from Thermocrispum limits psoriatic inflammation by hydrolyzing epidermal lysoplasmalogen produced by group IIF secreted phospholipase A2, Biochimie, in press |
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